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【深空さんの本棚】第6回

「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」
https://bookmeter.com/books/500995
(読書メーターへリンク。amazletがサービス終了したみたいで画像を貼れませんでした。。。)



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「『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』という本です。

 長くて難しい伝記みたいなタイトルですが、150ページ弱の

 とてもコンパクトな内容です。

 今回、次の企画を練るときに参考になるかなと思って読んでみた本の一つです」

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「この『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』ですが、ウィキペディアによると

 ピカレスク小説と呼ばれる形式で書かれた最初の本と書かれています。

 私はピカレスク小説というものを知らなかったので特に事前に調べたりは

 せずに読みました」

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『わたくしの父親は――どうか神様あの人をお許しなすって下さいまし――
 あの河の河岸にある水車の粉ひきが仕事で、およそ十五年の上、
 あの水車の水車番をいたしていました。
 そうして、ちょうどわたくしをお腹に宿していたお袋が、一夜水車小屋に
 いるときに産気づいて、その場でわたくしを産みおとしました』



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「この本の主人公のラーサロはとても貧しい水車番の子供として生まれます。

 そして読んでみると分かるとおり、基本的に一人称で物語が書かれています。

 私が読んだのは岩沼文庫のものですが、訳者さんも独特の言い回しですね。

 回りくどい言い方が多いので初めはちょっと読みにくいかもしれません」

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「さてこのラーサロですが、その後すぐに戦争で父親を亡くし、

 馬屋で働くようになった母親とそこに出入りしていた男が密通して

 新しく子供を産んだり、そのことがばれて母も男もむち打ち油責めの刑を受けたり

 とにかく悲惨です。

 仕方なくまた母と二人で宿に奉公して食いぶちを稼ぎますが、ここでラーサロに

 転機が訪れます。宿に訪れた盲目の老人に手引き役として雇われてほしいと

 提案されました。母親の方でもぜひよろしくと話が進み、あれよあれよと

 その老人についていくことになります。

 ラーサロはこの物語の中で七人の男に仕えることになりますが、そのうちの

 最初の一人ですね」

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『「おい、ラーサロ、この牛に耳をあてて見な、中でどえらい音が聞こえるから」
 そこで、わたくしは、ごく無邪気に、そうかなと思って耳を近づけました。
 すると、奴はわたくしがいよいよ石のそばに頭を持っていったなと
 感じとると、手にぐいと力をこめて、その牛の畜生に向かって、わたくしの
 頭をがあんと一つ、思いきりぶっつけたものです。』

※「石」は原文ママ。誤植?


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「盲目の老人は二人きりになるなり早速正体を現します。

 この老人、目が見えないながらも頭は抜群に切れ、一人でもそれほど不自由なく

 路銀を稼ぎながら放浪してきた人物です。

 と言っても、それは『数かぎりない、いろんな効き目のある祈祷』や

 『今度生まれる子供が、男の子か女の子かという占い』や『医術』という

 名ばかりのインチキ商売でした」

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『覚えておくがいい。盲の手引き小僧ってものは、悪魔よりかちょっとばかり
 利口でなくっちゃならんのだぞ』



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「そればかりでなくこの老人は尋常ではないほどのケチで、ラーサロが今にも

 飢え死にしそうな時でも自分ばかりパンをかじってラーサロにはわずかな

 分け前しかくれません。その上さらに用心深く、自分の荷物はすべて

 一つの麻袋に詰めて、南京錠で封をするほどです。

 そういうわけで純朴だったラーサロもだんだんと悪知恵をつけていくようになります」

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『これまで幾度も糸をほどいては、また元のように縫いなおした頭陀袋の片がわの、
 わずかばかりの縫い目から、パンも小刻みに取り出すどころか、でっかい
 パン切れ、揚げた塩豚、腸づめなどを取り出しては、この強欲な頭陀袋から
 抜きとったものでした。』



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「老人の目(?)を盗んで食べ物をいただくなんて言うのは生やさしい方で、

 老人の祈祷の見返りに人々から受け取ったブランカ銅貨を、隠し持っていた

 半ブランカ銅貨にすり替えて老人に渡したり、老人がぶどう酒の瓶を飲む

 わずかな間にライ麦の茎をストローのように差し込んで素早く吸ったり、

 この悪魔のような老人と知恵比べをする間にラーサロはしたたかになっていきます。

 もちろんバレたときには老人も黙ってはいませんから、酒瓶でラーサロの顔面を

 思いきり殴ったり杖で小突いたり、とにかくひどい扱いでした」

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「いい加減にこの老人に見切りをつけたラーサロは、老人の手引きをする

 ふりをして石の柱に連れていき思いきり頭をぶつけさせると

 『ざまあ見ろい』と言い残して彼のもとを去ります」

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『だが、わたくしは雷鳴をのがれて、稲妻に出くわしたのでございました。
 それと申すのが、あの盲はさきにお話しいたしましたように、まるっきり
 けちの権化みたいではございましたが、今度の坊さんにくらべれば、
 正にアレキサンドロス大帝でございました。』



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「ラーサロの不運は続きます。

 ラーサロが二番目に仕えた男は打って変わって聖職者の男でしたが、

 なんとこの聖職者、さっきの老人以上の悪魔でした。

 パンをはじめとした食料は彼の外套の中の鍵付きの箱の中に厳重に仕舞われていて、

 彼の家にはそのほかには何一つ食料がありません。

 ラーサロは四日に一度たまねぎを一つだけ与えられますが、当然そんな量では

 お腹は膨れません。そういうわけで、ラーサロは聖職者に仕えていながら

 いよいよ飢え死ぬかもしれないという境遇に陥ってしまったのです」

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「そんな中、万事休したラーサロのもとにたまたま通りがかったのが鋳掛屋の男でした。

 ラーサロは彼を騙して箱を開ける合鍵を作ってもらいます。

 箱の中のパンを少しだけ頂戴し、裏にネズミがかじったような穴を開ける

 細工まで施して、ラーサロはかろうじて生き延びます。
 
 けれども、しばらくするとその細工もばれて彼のもとから追い出されてしまいます」

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『わたくしは、これまで仕えたさもしい主人どものもとをのがれて、もっと
 ましな主人を求めていたというのに、たまたま出会った主人というのが、
 わたくしを食べさせてくれないばかりか、わたくしのほうでその男を養って
 いかなければならないという、わたくしの不運を、今さらながら幾度も
 考えたことでございました』



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「三番目の新しい主人を見つけ、まさか今より酷いことにはならないだろうと

 思っていたラーサロですが、その予想は裏切られます。

 三番目の男は身なりこそ立派ですが、仕事はなく食料やお金を得るあての

 全くない男だったのです。

 つまり、ラーサロに与えるパンはおろか自分が食べるための食事すらありません。

 この主人は日中は外に出て女性を口説いて回っているので

 その間ラーサロは近くの家を回りパンを恵んでもらいますが、夜になって

 なんの戦果もなく帰ってきた主人がラーサロからパンを分けてもらう有様です。

 つまり今までは多少なり食料をもらえるだけプラスでしたが、この主人に

 至ってはマイナスということですね。この男が今までどうやって生きてきたのか

 とか、気になる部分はたくさんありますが、とにかくラーサロは不運なことに

 今までで一番ひどい主人をまたしても引いてしまったのです」

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「けれども程なくしてこの主人の方からラーサロの元を去っていきました。

 というのは、なんとこの男、家賃を払えずに召使のラーサロを置いて

 家から逃げ出したのです。最低ですね。

 私もここまで読んでだいぶお腹いっぱいになってきました」

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「ただ、この本としては三人目の主人までが尺のほとんどで、四人目以降は

 ほとんど端折られています。

 四人目は修道僧の方に仕えたそうですが、内容は1ページで終わってしまっていますね。

 ラーサロは最終的に『触れ役人』という公職について、主人の友人の女中の一人と

 結婚することになります。

 あらすじで言えば最終的に大出世してめでたしめでたしというお話ですが、

 物語の中心は出世までの過程というよりは、『今までに仕えた酷い主人まとめてみた』

 みたいな内容です。 特にお腹がすきすぎて苦痛で寝られないみたいな描写が

 たくさんあるので、ラーサロの苦難が目に浮かぶようです。

 これが出版された当時ブームになったということですから

 人々には共感する部分が多かったのかもしれませんね」

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「いろいろととっつきにくい部分はありますが、もしお話が気になったら

 ぜひ手に取ってみてくださいね」

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「さてさて、作業の方は今週は新しい敵のグラフィック作業を進めました。

 来年の初めにはきちんとした本工程を立てて進めていきたいですね。

 11月も頑張っていきましょう」

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コメント

[C2596]

週更新お疲れ様でございます!`・ω・)ゞΣ
純朴が何かに染まっていく過程はいつの世の中も表現が難しく魅力的でもありますねぇ
こういうのは初めがしっかり導入されると最後が気になって仕方ないところ・・・!

敵のグラフィックも次の情報が楽しみで仕方ない所ですね
工程表作成ふぁいとですよぅ!`・ω・)
  • 2020-10-28 19:40
  • ダッツ
  • URL
  • 編集

[C2597] Re: タイトルなし

ダッツ 様

お疲れ様です。ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯では仰々しい始まり方とは裏腹に終わりがかなりあっさりしているので、何か大逆転を期待しながら読むとちょっと拍子抜けするかもしれません。とはいえ疑うことを知らなかった少年が人間らしくずる賢く変わっていくのは読んでいてとても面白いですね。
敵も年内にもういくつか作れるように頑張ります。(み
  • 2020-10-28 21:38
  • MIZUKU
  • URL
  • 編集

[C2598]

空ちゃんのブックレビューの隠れファンです。感想を挟みながらあらすじを紹介してくれるのがとても上手だと感じます。今後も楽しみにしております^_^

[C2599] Re: タイトルなし

> 空ちゃんのブックレビューの隠れファンです。感想を挟みながらあらすじを紹介してくれるのがとても上手だと感じます。今後も楽しみにしております^_^

ありがとうございます。工程が固まってからだとなかなか読む時間が取れなくなってしまうので、なるべく時間のある今のうちに積み本を読んでおきたいですね。 (み
  • 2020-10-29 01:34
  • MIZUKU
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  • 編集

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