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【深空さんの本棚】第3回

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「実は先日所長に『楽園追放』面白いぞ! って言われまして、

 今さらかなーって感じですけど、勉強になるところも多いかと

 思って見たんですよ。(アマゾンPrimeで見れたので)」

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「もう、最高じゃないですか!

 私はアニメをよく見る方ではないですけど、これはもう最高に面白かったです!

 アンジェラさんの可愛さはもちろんですけどフロンティアセッターさんとの

 関わりも本当に丁寧に描かれていて、見ていてとても楽しかったです。

 ふわふわした電脳世界のアクションだけじゃなくて地面に足を付けて

 空を見上げるようなところがあるSFが私、好きなんですよ。

 やっぱり地続きの世界で夢を見られる作品って素敵ですよねー!」

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「It's so far away~ 描~きた~いよ~……」

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「まぁ、それはさておきまして……

 今日は『地底旅行』という本をご紹介させていただきたいと思います」


地底旅行 (岩波文庫)
地底旅行 (岩波文庫)
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岩波書店 (2015-01-01)
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「これまでと同じで旅の本ですが、タイトルから何か

 お察しできるかもしれませんね……

 現在制作している『地底戦記』を作る上でとてもとても参考にさせて

 いただいた本です」

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「初刊はなんと1864年で、これをSF小説とするなら世界最古クラスの

 とても古いSF冒険物語ということになります。

 SFというと空想科学のイメージを持つ人もいるかもしれませんが、

 著者のジュール・ヴェルヌは逆に”それが科学的にどのように正しいか”

 に徹底的にメスを入れる人で、そのための説明や考察にものすごい量の

 文面が割かれているのが特徴です。

 こんなことはあり得ないだろう、という読者の反論を登場人物に代弁させて

 ”いやそれはこういうことなんだ”と念には念を入れた説明をあらかじめ

 全て書いているんですね。

 とにかくこの辺りはとても徹底しているのがヴェルヌらしさ

 ということでもあります」

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「この『地底旅行』は今も私の作業机の上に常備していて、

 私はときどきパラパラめくって物語の雰囲気を思い出したりしています。

 制作が終わるまでは手放せないですね」

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「あ、とはいってもこの『地底旅行』の中には『地底戦記』のネタバレ

 になるような内容は全く無いので安心してくださいね!」

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  十六世紀の錬金術師の謎の文字を苦心の末解読してみると、そこにはアイルランドの火山の噴火口から地球の中心に達することが出来ると書かれていた。これが十三週間におよぶ地球内部への旅の始まりになった。(岩波文庫版あらすじ)



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「『地底旅行』で読者にとっておそらく一番強く印象に残るのが

 青年アクセルを地底の旅に(強引に)連れ出すリーデンブロック教授でしょう。

 地質、鉱物、生物――あらゆる知識を備えてしかも暗号を解読した

 次の日には”他の研究者に先を越されてたまるか!”と旅支度を完了している

 エネルギッシュさ、地底の底から戻るための手段も分からないままに

 ”先人が生きて帰ったのならそこに行けば何か分かるはずだ”と未知の旅に

 繰り出していく豪胆さ。

 とにかく規格外なこの老人に驚き振り回されることと思います」

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「そして地底だからこそ道中様々な困難に見舞われます。

 まず水と食料をどう確保するのか?

 まったく光の無い世界で照明をどうするか?

 ずっと深く降りて行った場所の温度に人間は耐えられるのか?

 そしていざトラブルに遭ったら一体誰が助けに来られるのか?

 私の中で印象に残っているのが主人公のアクセルが他の2人とはぐれてしまい、

 照明も壊れて真っ暗闇の地中で絶体絶命の状況に陥るシーン」

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 そのときの絶望の気持ちをどう表現すればいいのだろう。それは、人間のことばではとうてい言い表すことのできないような感情だった。わたしは生き埋めになったのだ。飢えと渇きにさいなまれて死ぬほかないのだ。

 そう、わたしは測り知れない深淵のなかで道に迷い、破滅しようとしていた。百二十キロの厚さの地殻が恐ろしい重さで両肩にのしかかってきた。押しつぶされてしまいそうな気がした。



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百二十キロの厚さの地殻!

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「自分の帰る家が百二十キロの花崗岩を隔てた地上にあって、

 手元には3日分の食料しかなく、明かりもない、真の暗闇……

 そんな状況でまともでいられる人はいないでしょう。

 ひとつひとつ科学的な足掛かりに基づいて進んでいく冒険だけに、

 この取り返しのつかない事実が一層重く感じられます。

 もし私が同じ境遇になったら、そんな場所で自分が

 まだ生きているという怖さで身体がすくんでしまいます」

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「様々な困難を乗り越えながら地底の海、巨大なキノコの生える森など

 地底世界の神秘を目の当たりにしてアクセル一行は驚きの声を漏らします。

 地質、生物学の権威であるリーデンブロック教授が数々の発見に

 狂喜乱舞したのは言うまでもありません。

 そして最後に訪れる最大級の困難と、一行がどのようにして地上に

 生還したのかは是非本を読んで確かめてみて下さい。

 途方もなく壮大で爽快な結末は私がこの本を大好きになった

 一番の見どころでもあります」

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「ところでジュール・ヴェルヌと言えば『海底二万哩』なども書いた

 有名な作家様ですが、これから小説を読んでみようという方――」

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「どうか導入で挫けないでください」

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「ヴェルヌの小説はとにかく導入が長いです。

 もしお手元に『地底旅行』がある方、

 ページを表紙側から5分の2くらいバサッとめくって下さい。

 そのあたりからようやく地底へ潜っていきます。

 『海底二万哩』をお持ちの方、上巻の3分の1くらいをめくって下さい、

 そのあたりでようやく潜水艦ノーチラス号に乗船できます」

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「未知への冒険もとてもとても面白いのですが、導入の舞台背景や

 自然科学の話題も好きになれるとなお一層面白いのかなと思います。

 (ちなみに『海底二万哩』の注釈は上下巻合わせて898個あります。

 『地底戦記』の鉱石のトピックなんて話にならないくらいの量ですね!)」

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「もしご興味が湧きましたらぜひ手に取ってみて下さい。

 こういう本を書く人もいるのかー、と純粋に1つの発見になるかと思います」

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「ではではー」

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おまけ
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コメント

[C307]

更新お疲れ様です。待ってました読書回!
また長いコメントになってしまい、申し訳ございません。

今回はヴェルヌということで、SFの古典回ですね。
1864年って、もう150年以上も前なのに驚きです。H・G・ウェルズとともにSFの父と呼ばれる彼ですが、ウェルズ「モロー博士の島」が1896年でずっと前に発表されているわけですから。

導入が辛いは古典あるあるかもしれませんねw
SFか微妙でちょっと年代が遡りますが、メアリ・シェリー「フランケンシュタイン 第三版」1831年もウォルトン(初見時は誰?)の手紙にフランケンシュタインの生い立ちと、物語の進みが遅く感じますし。
とはいえ、もともと雑学が好きなのもありますが、私は古典現代問わずミステリをよく読むのでじっくりな導入はある程度慣れています。寧ろ前段階や薀蓄部分は望むところですw

内容の部分をお見受けするに、地底の森林など、直接的なパロディも「ハスミ」には多分にあるようでワクワクします。また地底の未知なる世界の描写もJ・G・バラードの「唯一の未知な惑星は、地球だ」を思わせる程丁寧に描写しているようで興味が湧きますね(このような引用は、バラードの意図とズレているかもしれませんが)。

上のリンクで見たところ、岩波文庫版が手に入りやすそうですが、本編以外の質問があります。解説はどのくらいありますか?
作家の当時の環境が作品をより理解し、より楽しむ手引きとなりますから、解説と本編を並行して読むタイプなんです。
例えば「モロー」は当時の英国の亡国意識が色濃いと聞きます。同じように発表時のヴェルヌの環境や生い立ちそのほかがわかれば、より一層楽しめると思いますので参考までに教えて頂ければと思います。

最後に一言。
ピッチリスーツは大正義。
ヤグムールさんご馳走様でした!
次回更新等お待ちしています。
  • 2017-12-11 22:47
  • 薬膳
  • URL
  • 編集

[C308] Re: タイトルなし

薬膳 様

「コメントありがとうございます。
 SF小説はすばらしい先人の方々がたくさんいて私も大好きです。
『フランケンシュタイン』は私もずっと読みたいなーと思っていて!
 今度時間ができたら買う予定です」

> 上のリンクで見たところ、岩波文庫版が手に入りやすそうですが、本編以外の質問があります。解説はどのくらいありますか?

「『地底旅行』ですと解説は21ページありますね。
 訳者の朝比奈弘治様が書かれています。
 ご推察の通り、ヴェルヌの生い立ちや執筆背景がたくさん書かれていますよ」
「もっともっと良い本の良いところを吸収できるようになりたいですね!」(深空)

  • 2017-12-12 01:27
  • MIZUKU
  • URL
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